『風と木の詩』だけじゃない。竹宮惠子の名作BL漫画5選

投稿:2025/01/11

『風と木の詩』だけじゃない。竹宮惠子の名作BL漫画5選

少女漫画は日本のBL漫画の礎となってきました。 萩尾望都『トーマの心臓』や『ポーの一族』、 木原敏江『摩利と新吾』、山岸凉子『日出処の天子』など枚挙にいとまはありません。 そして、BLを描く少女漫画の代表作として挙げられるのが竹宮惠子『風と木の詩』です。

美しくも儚い少年愛を描いた『風と木の詩』は少女漫画界のみならず社会にまで影響を及ぼし、 やがて耽美、やおいと繋がるBLの系譜を語るうえで欠かせない重要な作品となりました。

しかし、竹宮惠子は『風と木の詩』だけでなく、多くのBL作品を描いてきています。 この記事では、そんな竹宮惠子の知られざる名作BL漫画を紹介します。

1. ここのつの友情

『風と木の詩』だけじゃない。竹宮惠子の名作BL漫画5選

ブロマンスという言葉はここ10年近くで一気に知られるようになりました。 しかし、もちろんながらブロマンスという言葉が使われる以前から、 男性同士の友情を超えた親密な関係は描かれてきました。

『ここのつの友情』は、少年・郎と金髪碧眼の9歳のハーフ・ゴンベエの出会いと友情が描かれます。 決して友好的でない出会いから関係を深めるまでの流れは現在のBL漫画にも広く通じるものがあります。

2. サンルームにて

『風と木の詩』だけじゃない。竹宮惠子の名作BL漫画5選

日本初のBL漫画はなにか。論争が湧き上がりそうなテーマですが、 実は学術的には答えが決まっています。 それがこの『サンルームにて』。 少女漫画で少年を主人公にすることすらタブーだった時代に、 少年同士の恋愛を描いています。

ロマ民族の少年と病弱な少年の恋愛を描いたこの作品は『風と木の詩』への布石となった作品としても知られていて、 日本のBL漫画の礎となった記念碑ともいえます。

関連記事:BLマンガの原点・竹宮惠子『サンルームにて』を読み返す

3. 空がすき!

『風と木の詩』だけじゃない。竹宮惠子の名作BL漫画5選

フランス・パリを舞台に、主人公の陽気な14歳の詐欺師タグ・パリジャンを中心に繰り広げられるミュージカル調のコメディ作品。 明るいながらも謎も深いタグに男も女も魅了されますが、 身分を偽って警視総監の息子の家庭教師をするうちに懐かれてしまい……

『サンルームにて』を描き上げた翌年の1971年の連載。 前作とは打って変わって陽気で明るいミュージカルと、 男女問わず魅了し関係を持つパンセクシュアルな雰囲気が特徴的な作品です。

4. ジルベスターの星から

『風と木の詩』だけじゃない。竹宮惠子の名作BL漫画5選

BLとSF、インターネットでもしばし論争の的となってきた組み合わせですが、 半世紀前からBLを描くSF漫画は描かれてきていました。 地球から3万光年離れた惑星「ジルベスター」から送られたテレパシー映像。 そこに映る澄んだ赤い目をしたジルとの出会いが少年アロウの人生を変えました。

アロウはジルに会うことを一心に、やがて惑星ジルベスターに飛び立ちます。 実のところ、ジルは両性具有という設定なので、BLと言い切れるかは微妙な気はしますが、 公式ガイドブック『竹宮惠子カレイドスコープ』では美少年とされているのでヨシ!としています。

5. 変奏曲

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音楽家たちをめぐって描かれる全7話のシリーズ作品。 若き天才ピアニスト・ウォルフと美少年で知られるヴァイオリニスト・エドナンがセッションを交わす中で次第に惹かれあっていき、 愛を交わし、そして死別するまでの物語。

『風と木の詩』連載中に断続的に描かれていた作品。男色家の音楽評論家の視点を中心に描かれることで、 より一層主人公らの美少年ぶりが鮮やかに表現されている作品です。

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